AIR(Key) ~エピローグ~
AIR~エピローグ~
あの夏の終わりから、しばらくの時がたった。
晴子は、前の仕事をやめ、近くの保育所に通い始めた。
そこで、子供と接して生きていく道を選んでいた。
[家族に囲まれて生きて生きたい]
自分の体験した家族というものを教えていきたいと。
そして 観鈴の父親も
[長い休み]を終えようとしていた。
人それぞれ 各々の道を歩き始めていた。
そらは探していた。あの日消えてしまった少女を・・・
彼女といた場所を探し回るが見つからなかった。
そんなある日 彼は晴子と出会う。
晴子は言う。
あんたは今もこんなとこいるのか・・・
あの子はもうここにはいない
あんたには翼がある・・だからいかなければいけない・・
踏み出さなければいけない・・・
いろんなことが変わってしまったけど・・
それでも ふみだせば どんどん 道は続いている
夏は終わったけど、そらは果てしなく続いている
自分達 人には翼はないけど・・あんたには翼がある・・
だからあんたは飛ぶんだ・・そして 翼のない自分達の代わりに
人の夢とか願い・・全部 このそらに返してや・・・・・
そうすれば うちらはずっと穏やかな気持ちで生きていける・・
そんな気がする・・・・
晴子はそう告げると去っていった・・・・
そらは 自分の悲しみの正体を知る・・・
それは観鈴はもう地上にはいない。
あの空の向こうに還ってしまったのだと・・そして一人きりでいる・・・
だから、彼女を探す旅に出る・・いつの日か・・
彼女を連れてかえり 新しい始まりを迎えるために・・・
そらは飛ぶ 翼を広げ、地を離れ、蒼い空に飛び立つ。
どこまでも高みをめざして・・・・・
夏の始まりのある日の夕暮れ。
海辺に「ぼく」は立っていた。
「どうしたの」と隣から声が聞こえる。
その声は幼馴染の少女のものだった・・
彼女は砂で城を作っていた。
上手く出来たようで満足していたようだった。
もうすぐ日が暮れる。
だから「ぼく」は彼女に言う。
彼女がずっと確かめたかったこと
「この海岸線の先になにがあるのか」
彼女は言ったかわからないと言った。
けど「ぼく」にはそう思っていると思った
「たしかめてみたい」彼女はそういった。
振り返ると、堤防の上に人がいた。
男の人と女の人だった。
男は眠っていて、女の人はその隣で起きるのを
待っているようだった。
女の人がこちらに気がつき手を振った。
僕も手を振り替えした
彼らには過酷な日々を
そして、僕らには始まりを。
手を下ろし先に待っていた彼女に声をかける
「じゃ、いこうか」
「うん」
最後に僕は一度振り返り、つぶやいた
さようなら
しかしその言葉は潮風にさらわれて消えていった・・・・。
少年と少女は歩き始めた。
この先に待つもの・・無限の終わりを目指して・・・
AIR~終幕~