AIR(Key) 8月3日(木)
8月3日(木)
観鈴は 朝になっても起きてくることはなかった。
そらが 頬をつついたりしてみるが、
彼女は 一人にしておいてとまあ寝ることを選んだ。
たまに起きては 虚空を見つめて、また眠る・・・。
そんなく繰り返しの中、
とうとう 訪れた。
彼女が苦しみだした。
今の全てを失った彼女にそれは耐えれるものではなかった。
だが、彼女はそれを待っていた。
それを受け入れ、もう二度と目が覚める事がない事を・・・。
そらは ただ見ていることしかできなかった。
自分は、また観ていることしかできないのかと・・・
頭痛がした、自分の中で何かが膨らみ始めていた。
記憶が遡る・・この観鈴と過ごしてきた日々
彼女との出会い。
自分が生まれた日・・・・・・・・
そして、記憶はさらに遡り、そこには別の光景があった。
人々が通り過ぎていく中で、自分が動かす人形には
目もくれず、やがて誰もいなくなってしまった。
だが 一人の少女だけは、その人形に興味を持ち笑ってくれた。
「笑わせることができるよ」
彼女はそう言った。
そうしたいと彼は思った。今ならそれができると・・・・・。
手をのばして、彼女に触れられる 触れられた。
抱きしめることができた。
記憶の旅の中・・・彼は思い出した。自分がかつては
「国崎往人」という人で会ったことを。
彼はあの時、願った。また観鈴のそばにいたいと・・・
それで、彼女を笑わせていられることができれば
それが幸せだったと・・。
しかし、その願いは、残酷な方法でかなってしまった。
彼女を抱く腕もなく、伝える言葉さえもちえない
動物の姿として。
また 記憶があいまいになりかけていた。
このカラスの中には人間の記憶の容量は大き過ぎるものだった。
彼はそれでもいいと思った。
こんな残酷な現実なんて、わからなければ苦しむ事もないと。
そういって、目をとじた・・・・。
それでも、それでも彼はまだ願った。
観鈴のそばにいることを。
そして いまやらなければ、大事なものが永遠に失ってしまうことを。
今 彼女を笑わせなければ・・・。
往人はカラスの体で、歩きまわったりして、なんとかしようとする。
しかし、観鈴の閉じた瞳は明かなかった。。
落胆するなか 記憶の崩壊は進んでいた。
時折なにをするか、忘れかけていた。
それでも、彼女を笑わせるというのだけは、忘れないでいれた。
その最中、自分の人形を見つけた。
それを口にくわえて、彼は歩き回った。
今度こそ、この人形で彼女を笑わせてあげることができるように・・。
どれくらい時がたったか、人形を彼は歩かせ続けた。
「にはは」
彼女が笑ってくれた。
笑わせることができた。この人形で。
叶えることができた。
そして、彼は、彼女の前で人形にいろいろな事をさせ
笑わせ続けた。
その中で、彼女との日々を思い出し、そして忘れて行った・・
自分が消えてしまう。
けど、それでも、観鈴のそばにいたいという気持ちは
忘れないでいるから・・だからずっとそばに居続ける。
彼は誓う。記憶の消滅のなか最後に一度だけ
この体で 観鈴をだきしめたい・・・そう願い 彼は腕を伸ばす・・。
それは現実かそれとも夢、幻だったのか。
彼女の前には往人がいた。
再び 会うことができた二人。
再会に喜ぶ観鈴
大丈夫だ。お前は強い子だから。
だから きっと辿り着ける。
ふたりで目指したゴールに。
だれも辿りつけなかった・・・ゴールに。
頑張れ 観鈴
ずっと 近くにいるから、俺は。
ずっと、ずっと・・一緒だ・・
そう言葉をかける往人
観鈴はがんばるからとだからどこにもいかないでほしいと。
一緒にいてくれれば、自分は頑張れるから・・。
しかし、往人は、もうそれが叶わない願いだということを知っている。
だいじょうぶだ。
絶対・・忘れないから。
みすずのにおい・・
温もり・・・
笑顔。
離ればなれになることがあっても、それを目指して、
俺はあるいていくから。
・・・観鈴・・・さようなら
観鈴の自分を呼ぶ声の中・・彼の記憶は消えた
さて本日は 二人刹那の再開でした。
このシーンは、ゲームの中でも高順位のシーンですね。
私は、どうも分才がないので、うまく表現はできませんが、
実質、このシーンは泣けます。
ぜひ プレイしてみてください。
主人公の力はここまででした。観鈴が辿り着くべき場所への
礎になりました。さて 後は誰がこの希望を
つなげて行くのでしょうか。
AIR編を章ごとにわけるなら、ここからが最終章でしょう。
夏の物語もあと少しです。